2010年01月08日

グッドデザイン賞の鋏ー②

美容鋏のデザインを始めるときの最初の仕事は、世の中にある美容鋏は
一体、どんな鋏たちが存在しているかを理解するのが、初めの一歩。
新商品を出すことは、他社との競争になりますから、まずは鋏について
他社商品の現状を知るため、「現状把握」のマーケティング作業です。

新しい美容はさみのデザインを考える時、チタンコーティングした
ハサミの美しい姿とは、どんな姿が適しているのだろうかでした。
光輝くような色を、より楽しめる姿に、「屈折」があるのではと思い
屈折する色の輝きを表現するには、どうするかとアイデアスケッチを
何枚も描いている途中に、「面取り」のアイデアが閃いたのです。
スケッチを何枚も描いていると、突然に「これかな」と云うのに出会い
後は、面取りラインのカーブ曲線のスタイリングに移ったのです。



美容鋏は美容師さんの大事な商売道具ですから、単に切れ味だけでなく
持ち易さや持ち替え易さ、指の当たり具合など、十人十色です。
個人の指の太さや硬さが違い、カット技術も多種多様。
こういった専門家を対象にする商品は、個々の個性に対応するように
指穴の大きさや形状など色んな工夫があり、ほとんど特注品に近いので
価格も10万~20万ぐらいになってしまう。
ハイテクなチタンコーティングをしていても、切れ味を左右する「刃付け」は
熟練の刃付け師による、刃付けの技が頼りになる。
刃先の面取りはマシンで加工できても、最後の仕上げは人の手ですから
作る人のこだわり方が、品質の良し悪しを左右するのです。
ハサミに限らず、モノを作っている人の「より良きこだわり」が大事ですね。
  


Posted by デザイン散歩 at 12:49 | Comments(3) | グッドデザイン