2024年03月10日

爽やかなふつうの器



伊万里の伝統的な焼き物の鍋島焼。
その特徴の一つに鍋島青磁があり、翡翠色した焼き物は
独自の青緑色が魅力です。

鍋島青磁を作っている窯元から、青磁釉薬を3回ほど
掛けているので、きれいな翡翠色になると聞いた。

とはいえ、湯呑みなのに手に持ったら重く感じた。
焼き物好きな男性なら「重さ」をさほど気にしないかも
しれないが、東京で開催されるテーブルウェア展示会に
来るお客や大川内山の観光客には女性が多い。
これからの器作りには女性視点も大事になる。

そこで青磁釉薬を3回でなく、1回だけにしたモノを試作
してもらったら、重さをさほど感じる事がなかったし、
釉薬の色合いも爽やかな淡い青の仕上がりになった。

器は手に持つモノですから、持った時に重さを気にせず
ふつうの範囲になり、お茶を飲むのに使い易くなった。

外形をデザインする前に、今の商品で気になる所をまずは
改めてこそ、新しいスガタが生まれると思う。
  


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2024年03月04日

白い器のデザインはふつう。



一般的な食器には釉薬を全体的に掛けてあるので、表面がツルツルしている。

焼き物全体に釉薬を掛けると、釉薬の分だけ重くなる。
そこで、釉薬を線状にして部分的に掛けると、釉薬の
部分に少しふくらみがあり、器も持ち易くなる。

白い生地に、白い釉薬を掛けて、白い器ができる。
ふつうの白い器ですが、軽くて持ち易い。
暮らしにふつうと静かな佇まいのデザインを目指した。

日常生活の中で使われる道具には、ふつうなんだけど
今までの普通と少し違う「新たなふつう」を考える。

新しい、新たな、というのは「改め」に通じるし、
普通の「普」は、普遍にも近い気がする。  


Posted by デザイン散歩 at 11:24 | Comments(0) | デザインについて

2024年02月26日

キッコーマン醤油ボトルのデザイン



初めて名刺にデザイナーという肩書きを入れたのは50年ほど前になり、当時、目白にあったデザイン研究所の所長からデザインというのは英語だけど、日本語に訳すとどんな
言葉になるのか?
と質問された事をデザインするたびに思い出す。

そのデザイン研究所がキッコーマンから醤油卓上ボトルの
デザインを依頼され、赤いキャップと透明なガラス瓶の
卓上瓶が生まれた。

卓上瓶のスガタの原型は、お酒の徳利。
あの一合のサイズ感や外観を参考にしたようです。

今でもキッコーマンの醤油ボトルは進化しており、常に
新鮮な醤油を卓上でも使えるように改善されて、徳利の
形状は少し残って、使い易さを受け継いでいる。

デザインというのを日本語でどんな言葉に訳すのか?
その一つに「改善」があるような気がする。

今の現状に満足せず、有形であれ、無形であれ、中身も
スガタも常に日々改善する行為がデザインだと思う。
  


Posted by デザイン散歩 at 11:29 | Comments(0) | デザインについて

2023年12月23日

北斎美術館へ行って来ました。



ずいぶん前に行った事がある北斎美術館ですが、展示して
いる内容も変わっており、北斎という絵師が気になって
久しぶりに訪問した。

北斎美術館がある場所は北斎に関係した敷地に建てられ、
今では公園の一角にあり、美術館の周りに遊具が置いて
近所地域の子供や家族の身近な存在のようですね。

最寄りの駅は両国駅で、すぐ近くに相撲の国技館がある
せいか、両国駅構内には相撲に関連するモノがあります。



そんな和風な相撲関連を見て歩くと、その対極のような
超モダンな塊の建物の北斎美術館が見えてくる。

周りの建物と全く異質な造形を観ていると、北斎という
絵師の存在の凄さをまるで現しているようです。

北斎美術館の建築設計は妹島さんという女性建築家で、
表面の仕上げは前に来た時と変わらず繊細で、キューブと
わずかな斜面、スリットが特徴的な造形ですね。

  


Posted by デザイン散歩 at 11:20 | Comments(0) | デザインについて | 東京モノ

2023年07月14日

夜のスカイツリーの照明



久しぶりに友人たちと夕食の町中華をたらふく食べた
後、次は静かな場所へ移動した。

東京に住んでいる友人も、夜のスカイツリーをこんなに
間近に見るのは初めてらしい。
良い場所を選んでくれた幹事は任せて安心のYさん。

照明の灯りが刻々と移り変わっていく様子をジーッと
見ていると、スカイツリーの遠くの夜空に成田空港を
発着する飛行機がよく見えた。けっこう飛んでるね。

スカイツリーの照明をデザインしたのは照明デザイナーの
石井幹子さんで、照明デザインという分野を確立した。

照明の色彩が変化するだけでなく、江戸切子のような
繊細な表情が感じられ、金色や赤などの賑やかではない、
優雅さを照明でデザインしているような気がした。
  


Posted by デザイン散歩 at 10:33 | Comments(0) | デザインについて | 東京モノ

2023年07月01日

ランチは伊万里のカフェナチュール



伊万里にカフェナチュールがオープンしてから、近くの
スーパーへ立ち寄った時や、ウォーキングの休憩、そして
たまには仕事の打合せと利用している。

コーヒーや食事も良いのですが、建築空間やインテリア
など、木材をメインに使っているのと、フシがある木材を
柱や壁面に使っているせいか、木に表情がある。

木にフシがあるからと、それらを排除するのではなく、
ここではむしろ積極的にフシの木を使ってますね。
それにカフェと同じ敷地には、花や野菜の畑があるので
それらの風景もカフェのガラス窓から見えます。



ガラス窓というよりもガラス戸なので、外からの自然光が
多く入ってくるから、店内も明るい。
ほんとにカフェナチュールは心地良い空間ですね。  


Posted by デザイン散歩 at 10:41 | Comments(0) | デザインについて | グルメ

2023年06月26日

伊万里焼の重箱御膳のデザイン



この間、家内の友人たちから送別会をしていただき、
出かけた飲食店のテーブルに伊万里焼の重箱があった。

この伊万里焼の重箱が生まれるキッカケは地域の特産品を
開発する事業に対して、国からの補助金が適用される
補助事業を活用したのです。

ですから、伊万里の特産品と言えば伊万里焼と伊万里牛が
あるので、陶磁器業と飲食業をコラボは補助事業の対象に
なり関係者と打ち合わせが始まるため企画案を用意した。

伊万里焼の重箱は本体と蓋の合わせ精度に難しい点があり
これを解決するのに、重箱のデザインに直線を使わないで
角も作らず、全体的に柔らかさを感じるようにした。
また、フタと本体の2つの型代の費用も負担になるので
補助事業に採択されるように申請書を書いた。

絵付けする場所は蓋をメインにして、絵付けの作業性を
高め、窯に入るスペースもあまり取らないので、焼物の
コストも少しは抑えられた。

重箱のサイズは片手で持てる弁当箱を参考にして、中に
入れる料理のボリュームは飲食店の声を参考にするなど
それぞれの意見を集積して伊万里焼の重箱ができた。
今も使われているのは関係者皆さんのおかげですね。
  


Posted by デザイン散歩 at 09:23 | Comments(0) | デザインについて | ブランド